浅野医院

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社会保障費

社会保障費

消費税の増税10%が2年後に実施されることが決まりました。一方、社会保障の改革は今後に先送りされました。

現在日本の状況は国家予算90兆円の40%、約36兆円(国税、地方税、国債費に一部を含む)が社会保障費で占められています。一方、収入である税は46兆円で、毎年44兆円は赤字国債でまかなわれています。この赤字を解消するには、22%の消費税の増税が必要になります。さらに、本年度までに累積している赤字は960兆円になりもし50年で返済すれば10%、100年返済で5%の増税がさらに必要になります。両社の赤字を解消するだけで合計30%の増税が必要になります。

今後10年後に社会保障費の関連費用はどうなるのか、さまざまな試算がありますが、一つのモデルとして、2010年の社会保障関連費は約100兆円が10年後に1.5倍の150兆円になると試算されています。そのうち、保険料60兆円とすると、現在47兆円の税金が投入されているものが、10年後には保険料を変えなければ税金として90兆円必要になります。

社会保障費の内訳は、現在の時点で、年金53兆円、医療費40兆円、介護8兆円、福祉その他が13兆円です。この社会保障支出の金額は、高齢者の人数に比例しているため、現在65才以上の人口は約3000万人で20%高齢者が増加すれば、2025年には3600万人を超えそれだけで、福祉関連費用は増加することになるわけです。

先ず第一の年金は、支払い額の60%は保険料でまかなわれ、この負担は世界水準からみてもかなり高い水準でこれ以上は負担を増やせません。次に医療費は自己負担額、保険料以外の公的資金が現在80.8%使われています。2025年頃にはこれが59兆円と全社会保障費の50%をしめる予定で、これをだれが支払い、税はどのように工面するかが問題となります。

最後に、2000年に始まった介護保険は50%が保険料、50%が税金でまかなわれていますが、これも高齢者の増加によって、ほぼ比例して増加します。

社会保険がうまく機能しなくなった根本の原因は、高齢者世代、現役世代、未来世代それぞれの負担と給付の関係を曖昧にし、収めた税と社会保険料がどのように使われているか解りにくくして、結果的に赤字を未来に先送りし、現在の負担を少なくしていることに原因があります。10年以上前から、社会保障費増加は消費税などの税で補填する予定が、安易な借金である国債の発行に頼った結果です。

現在既に年金を支払わない人が国民保険では増え、年金積立金の取り崩しがおこなわれています。さらに保険料の確保もむつかしくなってきています。これを清算するために、もし今払込まれた保険料を払い戻し、将来支払うべき金額をまとめて支払うと1000兆円の不足をきたし現実には清算も不可能になってしまっています。

医療保健は、政管健保、組合健保、国保、共済組合に分かれていますが、国保などへの拠出金負担の増加で多くが赤字をかかえ、保険料の負担引き上げか、将来世代への負担先送りが迫られています。

このままこれらの制度の根本的変更がなされなければ10年後に社会保障料が30%を越す日がくるかもしれません。このように社会保障改革については何をどのように変えるか、きわめて複雑で誰もが明言を避けているのが現状です。

先日2020年にプライマリーバランス(単年度の財政収支)を黒字化するという国際公約は達成不能であると政府財政試算であきらかにし、今後も毎年当分の間財政赤字をだし続けることを発表しました。現在の国の財政赤字960兆円がさらに増え続けるのは確実です。

この、何兆円という金額はあまり身近な金額でないため想像がしにくい値ですが、戦前、予算にしめる軍事費のケースがあります。1920年代20%だった軍事費が満州事変のあと1931年にはじめて30%をこえて31.3%になり1937年に70%を超え、その後太平洋戦争突入後には、さらに増えて行きました。これは各種公債発行によるもので敗戦後のインフレで帳消しになりました。戦後は財政法第4条で赤字国債発行は禁止されています。